法律相談Q&A

国外顧客の注文キャンセルにどう対応するか -NEW-

Q: 新型コロナウイルスの世界的大流行の影響を受け、3、4月より突如大量の注文キャンセルが発生するようになりました。企業が有効に権利を保護し、損失を防ぐにはどのように対応すればよいでしょうか。

A: 封鎖政策の影響を受け、国外の顧客(買主)で資金繰りが困難となり、消費需要が急減し、貿易活動が減少する事態となっています。国外の大部分の顧客は注文を取り消したり値引きを要求する等して、この部分のリスクを輸出業者(中国国内企業)に転嫁しようとします。このような動きは中国の企業へのさらなる打撃となり、特に対外貿易に従事する企業では、「注文はあるのに操業を再開できない」状態から「操業は再開したものの注文がない」状態となり、以前として苦戦を強いられています。
   このような状況において、国外の顧客による注文取消しの影響にどう対応し、有効に権利を保護し、損失を防ぐかは、企業が最も悩まされ、注目する問題となっています。弊所の実務経験から以下のアドバイスをご提供いたしますので、皆様の困難からの早期脱却への手助けとなれば幸いです。

◇企業が有効に権利を保護し、損失を防ぐためのアドバイス
1.国外顧客との契約の約定を確認し、約定がある場合はそれに従って対応する
   まずは国外の顧客と締結している国際貨物売買契約の法律適用、契約解除の適用条件、違約責任等に関し、明確で具体的な約定があるかを確認し、約定がある場合はそれに従うようにします。

2.契約に明確な約定がない場合は、顧客に極力注文を維持してもらう
   契約の解除、違約責任等に関する明確な約定がない場合には、積極的に顧客と交渉し、納期延長、支払期限延長等の方式により、もとの契約を変更して顧客に注文を維持してもらうようにすることをお勧めします。

3.それでも顧客が注文を取り消す意向を変えないようであれば、顧客の主張を裏付ける書面の証拠を提供するよう求め、積極的に合理的な損失防止の措置を講じる
(1)顧客に対し契約解除を裏付ける証拠の提供を求める
   顧客が不可抗力を理由に双方間の契約解除を要求している場合は、その主張を裏付ける書面の証拠(国外顧客の現地政府が取った強制的な対策措置や、現地の対策措置により契約が履行できないか、契約を履行すると国外顧客に重大な損失がもたらされることの書面証拠等)を提供するよう求めることをお勧めいたします。
(2)積極的に合理的な損失防止の措置を講じる
   すでに発生した損失については、まず保険を付保しているか、付保している場合は保険の補償範囲を確認したうえで、速やかに賠償手続きを行います。保険を付保していない場合は、速やかに顧客と交渉し、合理・公平原則に則って顧客と損失を分担します。
   顧客に損失を主張する際には、契約の約定もしくは国際慣例、商習慣に従って賠償を請求します。

留意点:
   企業で損失の賠償請求の証拠として、原材料の仕入れや、人件費その他の費用支出の証憑を適切に保管するとともに、相手方との交渉、協議の記録(電子メール、書類、ファックス等を含む)についても注意して保管し、後の紛争解決のために証拠を保存、保全しておくようにします。

4.在庫について他の顧客への販売や国内販売への切り替えを検討し、合理的管理を行う
(1)在庫している製品であれば、第三者ルートを見つけて他の顧客に販売するか、対外貿易輸出から国内販売に切り替えることをお勧めいたします。
 規格が標準化されている商品であれば、企業はショート動画配信、ライブ配信等で商品をオンライン紹介して第三者を探し、他の顧客に売るか、国内販売に切り替えることが可能です。
(2)在庫は一定の場所を占用し、一定の保管費用が発生するものの、生産リードタイムが比較的長くかかり、損壊や価値の低下が発生しにくい製品については、感染収束後のリバウンド消費への備えとして、在庫不足のリスクを予防することを検討されてもよいでしょう。

◇感染流行期間/後期における日系企業へのアドバイス
1.事前に国外顧客の分類整理をしておく
   新型コロナウイルスの世界的な大流行の影響から、国外顧客に注文を取り消されるという状況は少なからず発生しており、企業で各顧客ごとにリストを作り顧客管理を行い、弁護士に委託して各顧客の契約履行能力、購買の意向等に関するリスク分析や、目的に適合する交渉マニュアルの制定を行っておくとよいでしょう。顧客との交渉についても、弁護士に代行を依頼することが可能です。

2.すでに注文を取り消した顧客に対し、客観的に分析したうえで再度交渉し、盲目的な対応は避ける
   企業が直面する状況はそれぞれ異なり、国外顧客によって注文が取り消される原因にも差異が存在するため、企業では上記の対策をそのまま適用するのではなく、むやみな対応をして損失がさらに拡大する事態となることは避けなければなりません。

3.注文履行中、代金未支払いの国外顧客については重点的なリスク分析と対応を行う
(1)国外顧客よりまだ代金が支払われておらず、かつ企業では履行を準備しているプロジェクトについては、改めて買主の契約履行の意向と能力を評価したほうがよく、特に買主が中小規模の企業であったり新規顧客である場合にはより注意を要します。履行を継続することを確認した買主とは、代金の前払い又はその他の担保や保険についての約定追加を協議します。
(2)随時顧客の所在国の感染流行状況や政策を確認し、仕向港の封鎖や通関業務の状況についても速やかに情報を入手して把握し、生産や出荷を判断するための重要な根拠とします。
 後に発生しうる各種の緊急事態への対応のため、各日系企業では以後の契約中に前払金に関する条項を盛り込み、契約中で各種の原因に起因する契約解除、免責及び違約責任等の多くのリスクコントロール手段を明確に約定しておくことをお勧めいたします。何か問題のある方は、メールや電話もしくは直接ご来所いただき、随時遠慮なく弊所へご相談くださいませ。

作成日:2020年08月27日